半月板損傷=必ず手術?アスレティックトレーナーが解説する治療とリハビリの考え方

膝の怪我で病院を受診し、「半月板が損傷しています」「半月板が切れています」と言われ、不安になっていませんか?病院で先生にそう言われたら心配になるのは良く分かります。この記事ではアスレティックトレーナーの視点で膝の半月板を損傷した時にどの様な選択があるか簡単に説明をします。

目次

半月板損傷=必ず手術ではない

膝半月板損傷では必ずしも手術が必要という訳ではありません。痛みがあっても保存療法(手術無し)で痛みが改善するケースがあります。まずこれを知っておいて下さい。

しかし、膝半月板の切れ方や症状によっては手術が必要な場合があります。また、保存療法で症状が変わらなかったり、悪化した場合も手術をした方がいいかも知れません。これについても良く覚えておいてください。

保存療法

膝の安静、抗炎症薬の使用、リハビリテーションを行います。保存療法を行なっても症状が良くならない場合は手術を検討する必要があります。

手術療法

損傷が大きい場合、自然治癒が期待できない場合に手術が検討されます。

症状の特徴

半月板を損傷した時にどのような症状があるかその特徴を説明します。以下の症状のうちの1つもしくはそれ以上が当てはまる場合があります。

半月板損傷では次のような症状が見られることがあります。

  • 痛み
  • 腫れ
  • 膝の引っ掛かり感やポキポキ音がする
  • 膝の硬さ、動かしにくさ、可動域の制限
  • 膝がロックされて動かせない
  • 膝が崩れる感じ

この中で、ロッキングがあるかどうかは重要な判断材料の一つです。

手術か?保存か?の判断

手術が選択されやすいケース

  • 強いロッキング
  • 明確なバケツ柄断裂
  • 日常生活に支障が大きい

保存療法が選択されやすいケース

  • 傷が小さく、治癒の可能性がある外側1/3の位置の場合
  • 痛みや腫れが少なく、ロッキングが無い

手術が必要か保存療法かは半月板の損傷の度合い、位置、切れ方、症状の度合いなどを総合的に見て判断されます。必ずしもすぐに手術が必要では無い場合もあります。MRIだけで無く、症状と機能を見て判断することが大事です。

半月板とは?

半月板とは2つの骨の間にあるクッションの役目をするものです。しかし、全ての骨の間にある訳では無く、いくつかの関節にだけ存在します。そのひとつが膝関節になります。

膝半月板は関節が曲げ伸ばしの動きをした時に2つの骨の表面が擦れて傷つかないようにするのが大きな役割の一つです。

他には関節に体重などの重さがかかった時にクッションになったり、関節のぐらつき感を減らし安定性を高める役割などがあります。

膝の半月板は内側、外側に1つずつ、計2つあります。

内側の半月板(内側半月板)はすぐ隣にある靭帯(内側側副靱帯)に付着しています。形はアルファベットの「C」、三日月状をしています。靭帯に付着しているので動きが少なく、この形のため外側の半月板より損傷しやすいです。

外側の半月板(外側半月板)はアルファベットの「O」、円の形状をしています。内側の半月板の様に靭帯に付着をしていないため、より動きがあります。損傷をする割合は内側の半月板に比べると低いです。

一つの半月板をもう少し詳しく見てみましょう。膝半月板の内側2/3には血管がなく栄養が供給されませんが、外側1/3には血管が存在するため修復のための栄養が供給されます。そのため、内側2/3は損傷の自然修復が難しく、外側1/3は自然修復の可能性があります。しかしながら、多くの場合、完全に元通りの形に自然修復されることは難しいとされています。

*実際には内側・外側というより「半月板の内側ゾーンと外側ゾーン(red-red/red-white/white-white)」で分類されますが、ここでは分かりやすく説明しています。

ではもう少し半月板の損傷について解説をします。

膝半月板損傷の種類

膝半月板の損傷にはいくつかの種類があります。どういう事かというと、切れる方向や形のパターンがいくつか存在します。それにより「手術をしたほうがいい」か「まずは保存でもいい」かが変わります。

次にどの様な種類があるかを説明します。

7種類の断裂があります。

①縦断裂、② 放射状断裂(radial tear)、③水平断裂、④バケツ柄状断裂、⑤フラップ状断裂⑥内側半月板後角ランプ病変、⑦複合断裂

今回は良く見られる①から⑤の断裂について簡単に説明をします。

①縦断裂(じゅうだんれつ)
縦方向(半月板の形に沿った方向)に亀裂が入った切れ方です。

② 放射状断裂(radial tear)(ほうしゃじょうだんれつ)
半月板の内側から外側に向かって放射状に亀裂が入る切れ方です。日本の医療現場では「横断裂』と説明されることもあります。

③水平断裂(すいへいだんれつ)
半月板が水平に二枚おろしのように裂ける切れ方です。

④バケツ柄状断裂(ばけつえじょうだんれつ)
縦断裂が大きくなり、バケツの柄のような形になる切れ方です。

⑤フラップ状断裂(ふらっぷじょうだんれつ)
斜めに亀裂が入りひらひらした部分がある切れ方です。

これらの切れ方によって手術が必要か必要で無いかが変わってきます。それについては後ほど説明します。

手術の種類と復帰までの期間

手術を選んだ場合、どのような手術が行われるのか、また、手術からの復帰までの期間について説明します。

手術には大きく3つあります。①部分切除、②縫合、③完全切除です。現在は初の2つが主流です。今回は主流である①部分切除と②縫合について説明をします。

部分切除

部分切除は半月板が損傷した部分だけを切って取り除く方法です。

メリット:手術後の回復が比較的早い

デメリット:半月板の一部を切り取ったため、その場所の軟骨への負担が増えて変形性膝関節症のリスクが増える

スポーツへの復帰:一般的に4~8週間

縫合

縫合は半月板が損傷した部分を縫い合わせて機能を回復させます。

メリット:半月板を保つことができ、将来的に変形性膝関節症の予防になる。

デメリット:手術後の回復に時間がかかり、再断裂のリスクもある。

スポーツへの復帰:一般的に3~6ヶ月(松葉杖を術後約6週間使用)

部分切除縫合
メリット回復が早い半月板を保存できる
デメリット変形性膝関節症のリスクが増える回復に時間がかかる
スポーツへの復帰4〜8週間3〜6ヶ月

保存療法では何をするのか?

保存療法では半月板そのものを直すのではなく、「膝にかかるストレスを減らす」ことを行います。膝を動かした時に半月板の損傷している部分に過度なストレスがかかると痛みや炎症がひどくなります。ストレスがかからないように膝が動くようにします

膝関節の動きを改善する

膝関節がまっすぐに曲げ伸ばしされるとスムーズな動きで半月板へのストレスが減ります。膝関節が内側や外側に傾きまっすぐに動かないと傾いている側にストレスがかかり痛みや炎症の原因になります。

膝に関係する筋肉のバランスを改善する

膝関節につながっている筋肉のバランスが悪いと関節が片方に引っ張られて傾いてしまいます。膝関節がまっすぐに動く様に筋肉のバランスを改善することが必要です

体全体のバランスを改善する

人間の体はつながっていて、膝以外の関節からの影響が膝関節に及ぼします。例えば、膝関節の上に位置する股関節、下に位置する足首の関節のバランスが崩れていると連鎖的に膝関節のバランスも崩れてしまいます。同じように、骨盤のバランスの崩れも膝関節へ大きく影響します。それらの関節につながる筋肉のバランスを整えて、体全体の筋肉のバランスを取ることが膝の症状を良くします

脳のプログラムを改善する

筋肉のバランスを取ることで関節をまっすぐにするということをお話しましたが、その筋肉に指令を出しているのが脳です。筋肉のバランスが悪い場合、脳が筋肉へ正しくない指令を送っていて間違った使われ方をしています。脳はそれが正しいと認識して指令を送っているのですが実際は間違っているのです。その指令を正しくする必要があります。正しい筋肉の使い方と関節の動かし方を繰り返し行うことで脳に正しい指令の出し方を再び教え、定着させるのです

当院ではこの考え方と方法により半月板へのストレスを減らし痛みや炎症を減らします。

手術後のリハビリでは何をするのか?

手術をしたら終わりではありません。これはとても重要なことなので覚えておいてください。手術により半月板を切除したり、縫合して半月板時体は治ります。しかし、手術後にリハビリをしっかり行わないと膝の機能が回復しないばかりか、半月板へも悪影響が及ぼします

手術をした後は筋力が衰え、可動域が制限されます。また、膝を動かす機能も低下しています。リハビリを行うことで筋力や可動域、機能を回復させます。また、「保存療法では何をするのか?」で説明したことを行うことが今後の膝の怪我の予防になります。

当院では手術後のリハビリでも体全体の機能のバランスを取り、膝への負担を減らすことを行います

まとめ

半月板を損傷したら必ずしも手術が必要という訳ではありません。損傷の度合い、切れ方、場所などによって手術が必要か、保存療法を行えるかを医師の診断の元に判断します。保存療法の場合でも手術の後でもリハビリを行うことが膝の痛みや炎症を抑えるために必要です。

当院では膝だけを見るのでは無く、体全体の機能のバランスをとることによって半月板へのストレスを減らし痛みや炎症を減らします。当院でのリハビリに興味のある方はご予約をお願いします。

参考文献

  1. American Academy of Orthopaedic Surgeons , Meniscus Tears, https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases–conditions/meniscus-tears/
  2. Mayo Clinic, Torn meniscus, https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/torn-meniscus/symptoms-causes/syc-20354818
  3. Cleveland Clinic, Torn meniscus, https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/17219-torn-meniscus

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この記事を書いた人

パフォーマンスインテグレーション代表
全米アスレティックトレーナー協会公認、アスレティックトレーナー(ATC)

東京の市ヶ谷で怪我の予防と施術、リハビリテーション、トレーニングを行なっています。腰痛や膝の痛みのリハビリの専門家です。ブログではスポーツ障害や健康に役立つ情報を中心に発信しています。

アメリカの大学(NCAAディビジョン1)にて多競技でアスレティックトレーナー(ATC)として12年間働きました。多くの大学生やプロアスリートの怪我の予防や治療、リハビリを行なってきました。

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