
2021年3月20日にロサンジェルス レイカーズのレブロン ジェームズがアトランタ ホークス戦で右足首を負傷しました。日本語の記事では「足首の負傷」もしくは、「足首の捻挫」と書かれていますが、現地の記事では「high ankle sprain」(ハイアンクル スプレイン)と明記されています。今回はハイアンクル スプレイン、日本語で言う脛腓靭帯捻挫とは何かを簡単に説明します。
解剖

ハイアンクルスプレインとはどこを怪我しているか簡単に言うと、足首の前側の内くるぶしと外くるぶしの間です。
一般的に言う、「足首」のエリアの上の方です。ですから、ハイアンクルスプレインと呼ばれるのです。
もう少し説明しますね。内くるぶしは脛骨(けいこつ)という骨の先端です。脛骨はいわゆるスネの骨です。外くるぶしは腓骨(ひこつ)という骨の先端です。脛骨と腓骨は縦に並行に並んでいます。そして、その2つの間にある脛腓靭帯(けいひじんたい)でつながれています。脛腓靭帯の中でも、内くるぶしと外くるぶしの間で、足首の前側にある靭帯が損傷したことをハイアンクルスプレインと言います。
原因
では、この部分はどうやって怪我をするのでしょうか?一般的に多いとされているのは、足が地面についた状態で足首が曲がり(背屈)、足の裏が外に向くように足が内側に倒れた(外がえし)状態で強い負荷がかかったときです。ハイアンクルスプレインが起こる状況はいくつかありますが、いくつか例を挙げると、
・着地の際に他人の足の上に乗ってしまった時
・他人が足首の外側から乗っかった時
などに起こります。脛骨と腓骨の間はとても安定性が高い場所なので、ハイアンクルスプレインが起こるときはとても強い力がかかっています。
症状と復帰までの期間
よく見られる症状は以下の通りです。
・痛み
・腫れ
・体重をかけられない
脛腓靭帯やその周辺組織の損傷の度合いによって重症度が異なります。損傷の度合いによりますが、一般的に復帰まで3~8週間と言われていることが多いでしょう。
「一般的な足首の捻挫」とはどう違うの?

ハイアンクルスプレインと一般的な足首の捻挫とはどう違うのでしょう?足首の捻挫にもいろいろあるのですが、一般的に足首を捻挫したときは足首の外側、外くるぶし周辺を損傷したことを指します。足首の外側にある靭帯(主に前距腓靭帯)が損傷します。それに比べ、ハイアンクルスプレインの場合は足首の前にある靭帯が損傷しているのです。
なぜ治るのに時間がかかるのか?

ハイアンクルスプレインは一般的な足首の捻挫よりも治るのに時間がかかります。先程述べたように3〜8週間と言われています。足首の骨の動きがその理由の1つです。
実は、内くるぶしと外くるぶしの間もう1つ重要な骨があります。それは、距骨(きょこつ)という骨です。先程、ハイアンクルスプレインで損傷する脛腓靭帯は脛骨と腓骨をつないでいるとお話しました。また、足首が曲がり、足が外側へ返った状態で怪我をするということもお話しました。この足首の動きの時に距骨が内くるぶしと外くるぶしを押し広げ、脛腓靭帯を伸ばします。すでにこの靱帯は損傷しています。ですから押し広げられると痛いですし、それを繰り返すと治りにくいですよね。
では、この足首の動きはどんな動作で起こるでしょうか?それは、歩くときです。一歩踏み出し、足首が曲がるたびに押し広げられるのです。歩くことは普段の生活では欠かせない動作ですよねですからなかなか治りにくくさせているのです。
まとめ
- ハイアンクルスプレインは足首の前にある脛腓靭帯の損傷
- 足が地面についた状態で足首が曲がり(背屈)、足の裏が外に向くように足が内側に倒れた(外がえし)状態で強い負荷がかかったときに怪我をする
- 復帰までは3〜8週間
- 治るのに時間がかかる
