
膝が痛いからといって、膝に湿布を貼ったり、マッサージしたり、ストレッチをしたり…。
これらを続けているけれど改善していないなんてありませんか?それ、もしかすると原因は「膝」ではないかもしれません。
特に、膝に負担をかけてしまう原因として見逃されがちなのが、「お腹とお尻の筋肉」なんです。今回は膝の痛みと“お腹とお尻“の関係について説明します。
なぜ膝が痛くなるのか? 〜膝は“被害者”かもしれない〜
膝は上下にある関節、つまり股関節と足首、の影響を強く受ける関節です。股関節がうまく動いていなかったり、骨盤が不安定な状態だと膝に必要以上のねじれや負担がかかります。つまり、膝が痛いのは膝が悪いのではなく、股関節や骨盤周辺が問題で膝に負担がかかるような体の使い方になっているのかもしれません。
重要な筋肉:腸腰筋と大臀筋
ここで重要な筋肉は腸腰筋と大臀筋です。

腸腰筋はお腹の奥にある二つの筋肉(大腰筋と腸骨筋)をまとめた呼び方です。大腰筋は腰の背骨、腸骨筋は骨盤の内側から始まり、共に太ももの骨(大腿骨)の上の方の内側に付着しています。大腰筋は膝を持ち上げる動きや体を起こす動き(股関節は曲げる動き)をする筋肉です。

大臀筋はお尻の大きな筋肉です。骨盤の後ろ側から始まり、太ももの骨(大腿骨)に付着しています。大臀筋は脚ろに蹴る、立ち上がる、骨盤を支えるなどの動きの時に使われる筋肉です。
この二つの筋肉の位置関係は前後にあります。腸腰筋が前、大臀筋が後にあります。つまり、相対する位置にあるので動きも反対の動きをします(拮抗関係)。反対の動きをするのですが、お互い連携して働くことが必要です。バランスが取れていないといけないのです。
この2つの連携が崩れると何が起きる?
腸腰筋と大臀筋は共に太ももの骨(大腿骨)に付着しています。腸腰筋は内側、大臀筋は外側に着いています。ですので、バランスが崩れると太ももの骨の位置がねじれてしまいます。太ももの骨は膝の骨でもあるので、膝の位置も捻れることになります。それにより、膝に痛みが生じるのです。
原因になりやすい生活習慣
では腸腰筋と大臀筋のバランスが悪くなる原因はなんでしょうか?いくつか例をあげてみますね。
長時間座りっぱなしでいる
座っている状態では股関節が常に曲がっている状態です。この時、股関節の前側にある腸腰筋は常に短い状態にあり、後ろ側にある大臀筋は常に長い状態にあります。これが長時間続くと腸腰筋は硬くなり、大臀筋は働きづらくなってしまいます。
片足重心で立っていることによる姿勢の崩れ
立っている時に過度に片方の足に体重をかけていると体重をかけている側の腸腰筋と大臀筋を使いすぎることになります。それに比べ、体重をかけていない側はあまり使われないことになります。これにより、使う筋肉に偏りが出て、左右差が大きくなります。
運動不足
運動不足により腸腰筋も大臀筋も弱くなります。一般的に筋肉は使わなければどんどん弱くなってしまいます。それにより、骨盤や脚を安定させにくくなります。また、運動不足ということは最初の例に挙げた長時間座りっぱなしでいることにつながります。
「膝を治したい」なら体全体を見ることが大切です
当院では痛みのある膝だけでなく、体全体のバランスをチェックしながらアプローチしています。実際、「膝が痛い」理由で来院された方がお腹やお尻の筋肉を整えただけで膝の痛みが軽減したケースも多くあります。「なかなか良くならない膝の痛み」がある方は、もしかすると別の場所が原因かもしれません。
膝の痛みの原因は膝ではなく、思いもよらない別の場所が原因であることがあります。まずは今の体の状態を知ることが改善への第一歩です。当院でのセッションにご興味がある方はこちらからご予約をどうぞ。


