スポーツ現場で働くATに必要なこと3つ

Photo: nata.org

多くの医療関係者、例えば理学療法士や柔道整復師、鍼灸師、がアスレティックトレーナー(AT)としてスポーツの現場で働きたいと思っています。それはアメリカでも同様で、多くの理学療法士やカイロプラクターがスポーツの現場で働きたいと思っています。彼らがスポーツの現場で働く時に重要なことについてお話します。

これらの資格を持っている人がスポーツの現場でATとして働くことを僕はいいと思っています。彼らの専門性を生かせる状況が多くあると思います。しかし、スポーツの現場は特殊で彼らが主に仕事としているクリニックでの患者の対応とは状況とは大きく異なります。その事を知ることでスポーツの現場で働く時に参考になればと思います。

1、時間のスピード感
スポーツの現場では時間のスピード感がとても重要です。現場では限られた時間の中で早く物事を進めなければなりません。

A、試合中の判断
試合中の怪我に対する判断を早くしなければなりません。試合中に怪我が起こった時、速やかに怪我を診断/評価し、この選手がプレーを継続出来るか出来ないかを判断しなければなりません。プレーが継続可能であるならば、それに必要な処置を素早く行います。ヘッドコーチ(HC)が最も知りたいことはその選手がプレーを継続可能かどうかです。それによってHCは試合について考える必要があるからです。ここで重要なのはATとしての判断を伝えることであって、継続不可能であると伝えることを心配することではありません。チームのエースの怪我や決勝戦の舞台でHCに「NO」を伝えることは躊躇するかもしれませんが、プロの判断として伝えることが重要です。

また、競技によっては試合中の怪我の際に与えられる怪我の評価の時間とそれに対する処置の時間が決まっている場合もあります。例えば、テニスではメディカルタイムアウトは3分間、レスリングでは90秒です。その間に判断をしなければなりません。

B、医療機関での診断
チーム内の選手が練習や試合で怪我をした時、多くの場合は医師による診察と画像診断が必要になります。チームドクターによる診察はすぐにしてもらえることがほとんどですが、MRIなどの画像検査や他の検査はすぐに出来ない場合があります。シーズン中は少しでも早く選手の状態の報告をHCは求めますのでそのような検査がすぐに行えるようにチームドクターと話し合いをしておくか、すぐに検査が出来る他の医療機関を把握しておくことが必要です。

C、復帰までの時間
怪我が起こってしまったことは仕方のないことです。怪我からの回復には生理学的にある程度の時間が必要ですが、それが早まるよう自分のベストを尽くしましょう。例えば、受傷部位以外へのアプローチや、テーピングやブレイスの使用などでプレーが可能になる場合もあります。無理をさせて練習や試合に出すべきではありませんが、出来るだけ早く復帰させることは考えておきましょう。プロ選手であれば試合に出ることが仕事であり、1試合、1試合が重要です。選手もそれを理解しています。この時間のスピード感は一般の方を相手にする場合と少し違うところがあります。

D、練習前の準備
練習前はとても忙しいので要領良く物事を進めないといけません。おそらく、練習1時間前ぐらいに選手たちがアスレティックトレーニングルームに来て準備を始めると思います。練習前の治療やリハビリ、テーピングなどを短時間で次々とこなさねければ練習に間に合いません。複数の事を同時に進行しなければならないのでその進める順番を考えて進め、選手への指示も素早く出しましょう。

また、予期せぬ事も起こります。例えば、ある選手が突然体調不良や身体の痛みを伝えてくる時もあります。その時は早急に事態の度合いを判断し、どうするかを決めなければなりません。それは今すぐに対応すべき事なのか、または、練習後でも間に合う事なのかです。練習前は本当に必要な事だけをして、その他のことは練習後やまた他の時間に行いましょう。毎日のことなのでこれをしっかり行うことは重要です。

2、コミュニケーション能力
どんな仕事にも共通することですが、ATの仕事も例外でなくコミュニケーション能力が大切になります。コミュニケーション能力はATの専門知識と同じくらい重要だと僕は信じています。ATはチーム内の多くの役職の間に立つことが多いため、ミスコミュニケーションが起こると問題に発展することがほとんです。

選手とは話をして怪我や体調、精神状態などを把握するのが必要です。コーチには選手の身体の状況を報告しなければなりません。ストレングス&コンディショニングコーチ(SC)とは選手の健康状態の情報を共有し、SCの計画通りにトレーニングが行うことができるか、もしくは変更が必要な選手がいるかどうかなどを話合わなければなりません。他にもチーム内の人々とコミュニケーションをしなければならないことが多いです。選手の健康に関する事をチーム関係者が同じように理解するようにコミュニケーションをとることが重要なのです。

3、現場での経験
チームでATとして働きたいのであれば現場での経験を積みましょう。スポーツの現場で求められる事とクリニックで求められる事は異なるのでなるべく早めに現場での経験を積むことが必要です。

僕は大学4年生の時にある程度チームを任される環境にいました。そして、ATCになってから行った大学院では1日目から担当チームについては全てを任されました。まだまだ経験の無いATCとして大学院での2年間でかなり多くの経験を積みました。自分で意思決定をしたり、選手やコーチとコミュニケーションを取りました。もちろん、失敗もしましたし、ヘッドトレーナーや同僚にも助けてもらいました。フルタイムの仕事を大学で取ってからも毎日自分は何を学ばなければならないか考えて過ごしていました。このように現場での経験を毎日積み重ねて現場で対応出来るようになっていきました。

学生の時から現場で実習出来る環境を探し、経験を積み始めましょう。既に社会に出ている人は実習をさせてもらえる場所を探したり、アシスタントとして入って経験を積むといいでしょう。チームに1人で雇われていてまだ経験が足りず、分からないことが多い人は知り合いのATに質問をしたり、時間のある時に見学させてもらったりして勉強を続けましょう。

まとめ
スポーツの現場でATとして働くとき、1、時間のスピード感2、コミュニケーション能力3、現場での経験が重要です。

現場での経験を通じてスポーツ現場での状況を理解し、慣れていくことが必要です。誰もが経験をすれば出来るようになります。大切なのは毎日学んで自分を進化させていくことです。それが自分のためにもチームのためにもなるのです。

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この記事を書いた人

パフォーマンスインテグレーション代表
全米アスレティックトレーナー協会公認、アスレティックトレーナー(ATC)

東京の市ヶ谷で怪我の予防と施術、リハビリテーション、トレーニングを行なっています。腰痛や膝の痛みのリハビリの専門家です。ブログではスポーツ障害や健康に役立つ情報を中心に発信しています。

アメリカの大学(NCAAディビジョン1)にて多競技でアスレティックトレーナー(ATC)として12年間働きました。多くの大学生やプロアスリートの怪我の予防や治療、リハビリを行なってきました。

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