選手の怪我への考え方とATの対応

選手は怪我をしたときに色々な不安を覚えます。その時、選手によって反応は様々です。今回はメディアにあったケースを元に選手の感情とアスレティックトレーナー(AT)の対応についてお話をします。

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記事の紹介

2023.03.01のデイリーの記事に日本ハムファイターズの江越選手が病院行きを拒否したという記事がありました。打席の際に右手首にボールが当たり、痛さのため大きな声をあげたそうです。しかし、江越選手は「ヒビでも見つかったら2軍に落とされるから行きたくない」ということで病院行きを拒否したそうです。

選手の気持ち

ATとして江越選手の気持ちはとても理解できます。今回の江越選手だけでなく、多くの選手が同じような気持ちになることがあるでしょう。選手は試合に出るためにチーム内で競争をしています。今ままでの努力を結果として表すための1つの方法が試合に出場することです。ですから江越選手の発言から不安感の心理状態であったと思われます。

なぜ検査を受けるべきか

しかしながら、検査を受けないことが正しいかどうかについてATの視点としてはノーです。

怪我をした場合、損傷度合を客観的に知るために検査を受けることが必要です。たとえ、明らかに小さな怪我のように思えても専門家に客観的な評価をしてもらうことが重要です。それによりどれぐらいの損傷かが分かるからです。

怪我から早く復帰するためにも検査が必要です。検査により怪我の詳細が分かることで適切な治療方針が立ちます。それにより、メディカルチームはその怪我に最適な治療や施術を行う事が可能になり、その選手のプレーからの離脱時間を短縮できる可能性が高くなります。

怪我をした時に検査を受けずにいるとその怪我の悪化、離脱時間の延長、他の部位の怪我などの可能性が高まります。これらは誰もが望んではいない結果です。いわゆる、lose-loseの関係です。検査を受けなければ怪我を客観的に認識することが出来ず対処が遅れます。それにより、その怪我が悪化する可能性があります。そして、早期に治療や施術を開始しないため、怪我が治るまでに時間がかかり復帰が遅くなる可能性もあります。他には、怪我した部位をかばってプレーをすれば体の他の場所に負担がかかり、その場所が新たに怪我をする可能性もあるのです。

選手がこのように思わないために

選手が不安感なく怪我と向き合えるような環境を作るためにはコミュニケーションが重要です。選手は怪我をした時に検査を受けた方がいい事は分かっています。しかし、短期的にプレーが出来なくなることに不安を覚え、我慢をしながらプレーを続けがちです。このようにしても結局は怪我の悪化などにより長期間の離脱になってしまうことが多いです。ここで大切なことはATやヘッドコーチとのコミュニケーションです。

ATは怪我をした選手になぜ検査をする事が大切か、早く100%でプレーを出来るように回復するには治療や施術が必要なこと、短期的視野ではなく長期的視野を持って考える必要があることなどをしっかりと説明し、理解してもらうことが必要です。また、ヘッドコーチも怪我について同じように理解をすることが必要です。ヘッドコーチから選手へ検査や治療の重要性を説明し、選手の不安感を無くしてあげることも大切でしょう。選手は怪我をした時、プレーへのプレッシャーを感じていることが多くそれを和らげる事が出来るのはヘッドコーチだからです。

まとめ

  • まずは選手の気持ちを理解してあげる。
  • なぜ検査を受けるべきか選手に具体的に説明をする。
  • 普段から選手やコーチ陣と怪我への考え方についてコミュニケーションをとる。

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この記事を書いた人

パフォーマンスインテグレーション代表
全米アスレティックトレーナー協会公認、アスレティックトレーナー(ATC)

東京の市ヶ谷で怪我の予防と施術、リハビリテーション、トレーニングを行なっています。腰痛や膝の痛みのリハビリの専門家です。ブログではスポーツ障害や健康に役立つ情報を中心に発信しています。

アメリカの大学(NCAAディビジョン1)にて多競技でアスレティックトレーナー(ATC)として12年間働きました。多くの大学生やプロアスリートの怪我の予防や治療、リハビリを行なってきました。

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