競技力を向上させるために運動療法がなぜ重要か?

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Photo: http://www.advancedhumanperformance.com

目次

基礎的な筋肉の機能が重要

運動療法が脳の再教育をし、正しい筋肉の機能を回復させることを前回の投稿で書きました。もし、まだお読みでなければ、まずはその記事をお読みください。今回は、競技力を向上させるために運動療法がなぜ重要かをお話します

前回の投稿で代償動作についてお話をしました。代償動作とは公益財団法人長寿科学振興財団が運営する健康長寿ネットによると

本来の動作や運動を行うのに必要な機能以外の機能で補って動作や運動を行うこと (1

健康長寿ネット

と説明されています。簡単に言えば体の使い方が間違っているということです。代償動作を行なってしまうということは基礎的な正しい筋肉の働きが機能していないということになります。体の使い方が間違っていれば競技力が上がらないだろうというのは何となく想像できるかと思います。

競技力を上げるとは

競技力を上げるにはどうすればいいのでしょうか?いろいろな要因はありますが、僕が考える大きな二つは、

  1. ウエイトトレーニングにより筋力をつける。
  2. 特定のスポーツのスキルを向上させる。

「ウエイトトレーニングにより筋力をつける」についてはストレングス&コンディショニングコーチ(S&C)による指導、「特定のスポーツのスキルを向上させる」についてはコーチの指導になります。ちなみに僕はS&Cやコーチではないのでこれらは行いません。

これらを努力したにも関わらず思うような結果が出なかったり、身体のあちこちに痛みや違和感を感じる場合があります。これらについてアスレティックトレーナーとして考えられることの一つは体の使い方が間違っている、すなわち、代償動作をしているということです。当たり前のように行なっているウエイトトレーニングやスポーツのスキルは人間の体にとってレベルの高い、発展的、強度の高い動きです。筋肉にとって強度の高い動きをする前に基礎的な筋肉の正しい機能を回復させることがレベルの高いこれらの運動をするのに必要です。代償動作を改善し、競技力を上げる準備をすると言って良いでしょう。それをするのがアスレティックトレーナーです。僕が行っていることはこれになりまります。

運動療法は代償動作を改善する

競技力を向上させることはビルを建設することに似ています。ビルを建設するとき、まず最初にビルの基礎を作ります。基礎はビルを高く建てていくためにとても重要です。しっかりした基礎がなければビルを建てている途中で安定せずに崩れてしまいます。

ビルの基礎のように、神経と筋肉(神経筋)の連携機能が身体の動きの基礎です複雑で強度の高い運動を効率良くするためには正しい神経と筋肉の連携機能が必要です。それによりバランスのとれた筋肉の働きが作られるのです。

筋肉の働きのバランスが良くないと重いウエイトを持ち上げることは難しいです。また、正しい神経と筋肉の連携機能がなければ、スポーツ特有の技術を効率的に行うことはできません。もしかしたら、ある程度の重さは持ち上げられるかもしれないし、ある複雑なスポーツ技術を行うことができるかもしれませんが、筋肉の働きのバランスが悪いために使うはずでない筋肉で補って動きが行われている(代償動作)ので可能である最大限のパフォーマンスを引き出すことは難しいでしょう。この間違った筋肉の使い方を減らすことによって競技力を向上させる可能性が上がるでしょう。

また、間違った筋肉の使い方は筋肉や腱、関節に余計な負担をかけ、それが痛みや怪我の原因となるのです。代償動作によりバランス良く筋肉が使われないため使いすぎの筋肉は損傷しやすくなり、使われない筋肉は衰えやすくなります。このように筋肉の機能のバランスが悪くなると関節は位置が中心から片方に寄ってしまいます。それにより、関節が動いたときに寄っている側が擦れたりして負担がかかり損傷しやすくなります

人間の体は負荷が高い運動ほど代償動作をします。なぜなら、体は負荷が高ければできるだけ強い筋肉を使い、弱い筋肉をかばい、得意な動作を使おうとするからです。しかしながら、その得意な動作は「正しい」使い方では無い場合が多いです。重いウエイトを上げることができたという結果に目が行きがちでその過程の体の使い方には目が行かないことがほとんどです。大きな代償動作であれば見ていてすぐに分かりますがそうでなければ気づきにくいことがほとんどなのでしょうがないでしょう。そして、違和感や痛みが出て初めて気づくことが多いです。できるだけ代償動作を改善するために運動療法が重要となります

運動療法は比較的動きが少なく「面白くない」「やった感が無い」と感じる方も多いのですが、運動療法は正しい神経と筋肉の連携機能、そして正しい筋肉の働きのバランスを再び形成します。正しい機能の形成は強度の高い運動で身体への負担が高まった時に間違った筋肉の使い方を少なくします。運動療法によって正常な身体の基礎が作られるので、強度の高いトレーニングで間違った筋肉の使い方をすることなく、身体の基礎の上にスポーツ特有の技術が作り上げられるのです。それなので、競技力を向上させるために運動療法は欠かせないのです。

参考文献

1、 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-kiso/daishodosa-mondai.html

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パフォーマンスインテグレーション:東京、市ヶ谷のプロ選手も通うスポーツの怪我のリハビリテーション専門院。米国アスレティックトレーナー(ATC)による施術とリハビリテーション。痛みの軽減とスポーツへの復帰をお手伝いします。16年間アメリカのトップアスリートを支えた実績。豊富な経験と知識、高い技術であなたの身体をケアします。ホームページはこちら

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この記事を書いた人

パフォーマンスインテグレーション代表
全米アスレティックトレーナー協会公認、アスレティックトレーナー(ATC)

東京の市ヶ谷で怪我の予防と施術、リハビリテーション、トレーニングを行なっています。腰痛や膝の痛みのリハビリの専門家です。ブログではスポーツ障害や健康に役立つ情報を中心に発信しています。

アメリカの大学(NCAAディビジョン1)にて多競技でアスレティックトレーナー(ATC)として12年間働きました。多くの大学生やプロアスリートの怪我の予防や治療、リハビリを行なってきました。

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