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ケビン デュラントとクレイ トンプソンの怪我からATが学べる事3つ

NBAのファイナルでは残念な大怪我がありました。ゴールデンステイト ウォーリアーズのケビン デュラントがアキレス腱断裂、そして、その後にクレイ トンプソンが前十字靭帯を断裂しました。今回の怪我からアスレティックトレーナーが学べるであろうと僕が思う事を書いてみます。

今回の2人の怪我はとても悲しい出来事だったと誰もが思っているでしょう。これから長期に渡ってバスケットボールが出来ず、復帰のためのリハビリが待っています。リハビリが終わり、また彼らの素晴らしいプレーが見れるのを僕は楽しみにしています。

また、今回の怪我の件でチームのメディカル、パフォーマンスチームは彼らの置かれた状況下でベストである決断をしたでしょう。ですから、僕は彼らの判断について批判するつもりは全くありません。僕は彼らの内情を知る由もなく、メディアで出ている情報しか知らないので憶測の域を出ません。誤解を招かないように最初に述べておきたいと思います。

1、状況を把握する
怪我が起こった時、ATとしていくつかの状況を把握しておく必要があります。それは、怪我の状況、チームの状況、そして選手の精神的状況です。なぜかというと、ATは多くのことに関わっていてチームの中で仲介者、橋渡し役であるからです。状況で自分の判断が変わるわけではないですが状況を把握しましょう。

A、怪我の状況
2人は今回の大怪我になる前に怪我を負っていました。デュラントはふくらはぎの肉離れを5月8日にしました。それ以来アキレス腱を断裂する試合まで試合には出場していませんでした。一方のトンプソンはファイナルのゲーム2でハムストリングの肉離れをしました。ふくらはぎはアキレス腱と繋がっていて、ふくらはぎの機能不全はアキレス腱への影響があるでしょうし、ハムストリングの機能不全は前十字靭帯の怪我へ影響している可能性があります。

怪我から競技への復帰の際に考えなければいけないのは受傷部位の解剖学、生理学的な回復の度合い、そして、受傷部位の機能回復の度合いです。組織の回復具合はMRIなどの画像診断でほぼ分かりますし、機能回復については選手を実際に動かしてみて判断ができます。しかし、それらが100%信用できるかというと必ずしもそうとは限りません。現在の怪我がどういうもので、どれくらい回復しているか、そして、この怪我が身体に影響する可能性を考えましょう。

B、チームの状況
デュラントがアキレス腱を切ったのはゲーム5でした。ゲーム4終了時点の成績は1勝3敗でした。もう後のないゲーム5です。同じく、トンプソンが怪我をしたゲーム6も後がない状況でしたし、デュラントはプレーが出来ないことが既に分かっていました。

今回はNBAファイナルという大舞台であるという状況です。チームは彼らの力を必要としています。チームとしては3連覇がかかっています。世界中が注目しているシリーズです。大きなお金が動いています。チームはそのような状況下にいることを理解しましょう。そしてこれらの状況から、いつもよりも大きな決断を迫られるかもしれないこと、ある種のプレッシャーを感じかもしれないということも覚えておくといいでしょう。

C、選手の精神的状況
彼らのようなエリートアスリートはとても強い競争心を持ってますし、とにかく勝つためにプレーをしたいと思っている事がほとんどです。この様な大きな試合では尚更のことです。身体に無理をしてでもプレーしようと思う選手も多いでしょう。

選手がどの様な精神状態なのか、冷静な判断が出来ているか第三者の視点で冷静に彼らの精神状態を把握しましょう。

2、意思決定に必要な情報を選手に与える
ここでATとして重要な役割は選手が意思決定をするにあたり必要な情報を選手に十分与える事です。それは今の怪我がどんなもので、今の状態がどのようであるか、そして、今プレーをすることで考えられるリスク(小さなことから最悪の状況まで)をしっかりと説明をして理解させることです。プロのATとして怪我のことやプレーに関して正直な意見を述べていいでしょう。もちろん、ドクターからの説明も必要です。もし、選手がプレーすることを望んだ場合は受傷部位へのテーピングやブレイスによるサポートの選択などもあることを伝えましょう。しかし、彼らは大人ですから最終的には彼らが決断をします。十分な情報を与え、彼らが意思決定することで彼らが後悔することを減らすことができます。

選手は与えられた情報を元に自分の状況を考えるべきでしょう。自分の気持ちもそうですし、今の自分のキャリアの状況や自分の家族の状況も考える必要があるでしょう。必要であればチーム外のドクターなどからセカンドオピニオンをもらっても良いでしょう。最終的には自分の身体のことですから自分にとってベストな選択をすれば良いのです。

3、中高生のような若い選手には今回の件はあてはまらない
今回のような怪我の状況を中高生に当てはめてみましょう。同じような判断をさせられるでしょうか?答えは「NO」でしょう。彼らのような若い世代は大人に比べ知識も経験も乏しく、感情に任せた意思決定をしがちです。彼らも強い競争心を持っていますから「今」だけを考えてしまう可能性があります。しかし、彼らはまだ十代でこの先の選手生命や人生が長くあります。

中高で実際にプレーする期間は2年半あるか無いかです。大きな怪我をした場合、約1年弱、長ければそれ以上競技から離れる可能性が高いです。怪我をする時期によっては将来の進路に大きく影響するでしょう。怪我はいつ起こるかわかりません。いくら予防をしても不運にも起こってしまうときはあります。しかし、もともと怪我を負っていて無理にプレーをして大怪我が起こることは避けられるかもしれません。冷静になって正しい判断をすれば避けられる可能性が大きいです。ですから、プロのATとしてしっかりと今の怪我の状況と起こり得る可能性、そして将来を説明してあげることが重要です。

怪我が起こった時チームで働くATは➀いろいろと起こっている事の状況を把握すること、➁怪我について選手に十分な情報を与える事、➂自分の働く環境と選手の年齢やレベルを考慮して対応する、ことが大切です。

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この記事を書いた人

パフォーマンスインテグレーション代表
全米アスレティックトレーナー協会公認、アスレティックトレーナー(ATC)

東京の市ヶ谷で怪我の予防と施術、リハビリテーション、トレーニングを行なっています。腰痛や膝の痛みのリハビリの専門家です。ブログではスポーツ障害や健康に役立つ情報を中心に発信しています。

アメリカの大学(NCAAディビジョン1)にて多競技でアスレティックトレーナー(ATC)として12年間働きました。多くの大学生やプロアスリートの怪我の予防や治療、リハビリを行なってきました。

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