選手の身体への意識とATとの関係性

先日のナンバーの陽子さんの記事でNBA選手であるレブロンジェームスが身体に気を使っているという記事をユッケへのインタビューを元に書いていました。

アスレティックトレーナーとしてとても興味深い記事であり、重要なことが書かれているので記事の文章を引用しながら僕がATとして経験してきて思うところを書いていきます。

陽子さんの記事はこちら

ではここから記事を引用しながら僕の思うところを書いていきたいと思います。

目次

ジャバーのすごさ

ジャバーの記録が破られることがないと思われていたのは、彼がNBAで42歳という年齢まで、20シーズンの間、高いレベルでのプレーをしていたからだ。

ジャバーがあの時代、1980年代に42歳までプレーしていたというのは今から考えると身体的に整っていたんだろうなと思います。特にあの時代はプレーがとてもフィジカルだったのは過去のハイライトを見ればわかります。その中でインサイドは特に接触が多いですからインサイドの選手で長年プレーしたというのは怪我も少なかったんでしょう。今ほど治療やリハビリが発達していなかった時代ですから身体には気を使っていたのだろうと予想できます。42歳までプレーしたというのはやはり驚きます。

若いうちから身体に気を使う

僕はかなり早い時期から、自分の身体が一番の財産だと気づいたんだ

レブロンや一部のNBA選手は若い時にこれに気づいているとインタビューなどから伺い知ることができます。以前から僕はこれについて発信をしていますが、若い時から身体に気を使うことが長く選手生活を続けるための秘訣だと思います。しかし、残念ながら本当の意味でこれを若い時に気づく選手は少ないです。なぜなら、ほとんどの選手が若いうちは回復も早いし、寝たら良くなるので身体に気を使う必要性を実感することが少ないからです。しかし、歳を取ったら身体の大切さや身体に気を使う様になるのです。それはある意味当たり前です。なぜなら、身体が衰え始め、否が応でも身体のことに気を使わないと回復はしないし、あらゆるところに痛みが出てまともにプレーできないのを実感するからです。ですから、選手は身体が資本ということを若い時から認識し、コツコツと身体に必要なこと、良いことを続けることによって少し先になりますが結果として見えてくるでしょう。

継続は力なり

NBAに入ってからもストレッチをして、身体を、手足を柔軟に保つようにと心がけてきた。それをずっとやってきたことは大きかったと思う

先ほども言いましたが、若い時からコツコツとずっとやってきたというのがここでのポイントでしょう。やはり継続は力なりです。自分で言っていて耳が痛いですが、やはり続けることが大切ですね。怪我をした時、痛い時だけ続ける人がほとんどで、少し良くなったらやめてしまう人のほうが多いです。自分に必要なエクササイズやセルフケアを続けている選手は怪我も良くなるし、その後も健康でいることが多いですね。

選手とATの信頼関係

レブロンがチームを移籍すると、マンシアスも共についていった。

これはNBAだけでなくアメリカのプロではたまに聞く話です。プロの全員がこれを出来るわけではなく、経済力も大きな要因でしょう。金銭的にこれが可能で、身体の重要性をわかっている選手はレブロンの様にしている人もいます。それだけ信用できる人を雇いたいという気持ちが強いのでしょう。また、チームがそれを尊重すると部分も大きいですね。この辺はお互いプロだなと感じます。

マイケル・ジョーダンにとってのティム・グローバーのような存在だ

まさにジョーダンとティムの関係と同じであると記事を読みながら思いました。幸運にもティムから話を聞く機会もあり、ジョーダンとの仕事は大変そうでしたが信頼関係を構築していったというのが重要だったように話を聞いて感じました。

あっちにひょろひょろって行って、失敗したから戻ってくるとかではなくて、軸はずらさずに常に改善を考え、より新しいものに興味を示すという柔軟性もあったので、そこのバランスがすごくすばらしいなというのは、見ていて思いました。

二人の信頼関係がしっかりと構築されていた証拠でこの信頼関係を作るのには二人のコミュニケーションがしっかり行われていたのだと思います。選手もATも身体に関する新しい情報が多く入ってくるのでそれについて良いのか、悪いのか、自分には合っているのかどうかということをお互いが提案や質問をし、話し合いをしていただろうと予測できます。お互いがこういったコミュニケーションが取れることがとても重要だと僕はATとして今まで働いてきてとても強く感じます。コミュニケーションが上手く選手と取れるATは成功していると僕の経験上わかります。ですから、僕も選手の話をよく聞くこと、僕から選手にとってベストだと思う提案をして話し合うことを大切にしています。

ATとしての力量

そのどこに手をつけてどこに手をつけないかの判断っていうのはトレーナーの知識と経験、そしてセンスになるんだろうなと、僕は今になってより強く思っているんです。

身体のどこに手をつけるかつけないかというのは重要であり、また、難しくもあります。それには知識と経験の豊富さがものを言います。手をつけるかつけないかに関しては選手の年齢も大きく影響するでしょう。学生などの若いうちは直せることも多いですし、直したほうがいいことの方が多い様に思います。しかし、プロの年代になるといわゆる普通から逸脱している身体の状況で問題がなければ直さなくても良いこともあるし、それを直せないこともあるのでその見極めは大切だと僕は感じています。

自立すること

自分でできることは自分でというところもありましたね。

身体に気を使っている選手は自分の身体に関して自立している傾向があると僕は多くの選手から感じます。この様な選手はATに任せっきり、全部やってもらうという姿勢ではないですね。身体に関して自分で考えて、自分で行動し、過度に依存しないという印象があります。


アスレティックトレーナーとしてレブロンのような素晴らしい選手が身体に気をつけてきたという部分を記事に取り上げて頂けたのは嬉しく思います。僕もATの一人として選手にとってベストなサービスを提供できるように引き続き頑張りたいと思います。

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パフォーマンスインテグレーション:東京、市ヶ谷のプロ選手も通うスポーツの怪我のリハビリテーション専門院。米国アスレティックトレーナー(ATC)による施術とリハビリテーション。痛みの軽減とスポーツへの復帰をお手伝いします。16年間アメリカのトップアスリートを支えた実績。豊富な経験と知識、高い技術であなたの身体をケアします。ホームページはこちら

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この記事を書いた人

パフォーマンスインテグレーション代表
全米アスレティックトレーナー協会公認、アスレティックトレーナー(ATC)

東京の市ヶ谷で怪我の予防と施術、リハビリテーション、トレーニングを行なっています。腰痛や膝の痛みのリハビリの専門家です。ブログではスポーツ障害や健康に役立つ情報を中心に発信しています。

アメリカの大学(NCAAディビジョン1)にて多競技でアスレティックトレーナー(ATC)として12年間働きました。多くの大学生やプロアスリートの怪我の予防や治療、リハビリを行なってきました。

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