あなたも心肺蘇生方のクラスを受講して万が一に備えてみませんか?

日本ACLS協会のBLSコースを受講してきました。ACLSとはAdvanced Cardiovascular Life Supportの略で二次救命処置の事です。日本ACLS協会とはアメリカ心臓協会(AHA: American Heart Association)と提携し、一次救命措置や二次救命処置のトレーニングやインストラクターを養成している組織です。(1

1BLS とは?

BLSBasic Life Supportの略で、心停止後の救命の基礎のことです。このコースを取る事によって、どの年齢の傷病者すなわち、心停止や脈拍が無くなった人にCPRAEDを使い彼らの生存の可能性を最大にすることができます。(1

CPRAEDという言葉は聞いたことがあるかもしれません。いったい何なのか簡単に説明します。

CPRCardiopulmonary Resuscitationの略で心肺蘇生法のことです。テレビドラマや映画で見たことがある人も多いのではないでしょうか。倒れた人の胸を何度も押す心臓マッサージと人工呼吸をして心臓を再び働かせ、呼吸を戻すあれです。

AEDAutomated External Defibrillatorの略で自動体外式除細動器と日本語で言います。ちょっと難しい聞こえですね。AEDと書いてある箱のようなものを駅などで見たことがあるかもしれません。こちらもテレビドラマや映画で見たことがあると思いますが、心臓に電気ショックを与えるあれです。あれは何をしているかというと、心臓が異常なリズムになり血液を流す機能を失った状態(心室細動)を電気ショックによって正常なリズムに戻しているのです。(2

2、資格を継続する義務

僕はアメリカのアスレティックトレーナーの資格を保有していて、アスレティックトレーナーの資格局がその資格を継続するためにBLSの資格を継続することを義務としています。そのために2年ごとにBLSの講習を受けています。なぜ2年ごとかというと、BLSの資格の有効期限が2年間だからです。僕はアメリカで学生の時から取り始めたので1996年から続けています。

ちなみに、僕が英語学校を卒業し、最初に取った大学のクラスは”First Aid & CPR”という授業でした。アメリカ人の間では「簡単」なクラスなのですが、僕には結構大変でした。普段使うことの少ない言葉が多く教科書に出てくるので読むのに苦労しましたし、実技では簡単ことですが喋らないといけなく最初のクラスで緊張していたので喋るのが大変だったのを思い出します。

3、今回のコース

BLSのコースを日本で取るのは初めてでした。指導がとても丁寧で良かったです。2人から3人のグループが4つあり、それぞれのグループに1人指導者が付くという素晴らしい対応でした。その指導者とは別に1人メインの指導者がコースを進めていきました。僕のグループは2人だったので実技では指導者の方が細かく教えてくださったのでとても助かりました。ちなみに今回の参加者のほとんどが看護師さんでした。

僕のグループについてくださった指導者は理学療法士で、院内で実際にCPRを何度か経験した事があり、その時の状況を話してくださりとても興味深かったです。練習と実際の違いを経験されているのでその違いなども練習中に話してくださりとても参考になりました。

4、万が一に備える重要性

僕は今まで幸運にもBLSを使う場面に遭遇した事がありません。おそらく、多くのアスレティックトレーナーが同じではないでしょうか。しかし、もし実際に遭遇した場合、おそらくそれがキャリアの中で1番重要な場面になるでしょう。日常的に使う技術ではないのですがその場面で使えなければなりません。それにはやはり日頃から復習をしておかなければならないとBLSの講習を取るたびに思います。今回も例外ではありませんでした。復習をしておかなければいざという時に対応出来ませんし、緊迫した状況で行うのは簡単ではないでしょう。いろいろな状況が想定されるのでそれぞれにしっかりと自分が対応できるのだろうかと講習中に考えるととても身の引き締まる思いでした。また、2年に一度受講するわけですが、その度に細かい事を忘れていることに気づきます。講習以外にも状況を想定した練習は定期的に必要だなと感じます。これはスパインボードの使い方についても同じですね。

5、あなたにも出来るようになってほしい

アメリカ心臓協会によると

院外での心停止の70%は自宅で発生している。

と言われています。ですから、医療従事者でない方でも家族が心停止する状況に遭遇する可能性があるのです。あなたが救命措置の知識があったら家族が助かる可能性が高くなります。日本ACLS協会では一般の方向けの講習会を開催しています。一般向けのコースはハートセイバーと言われるコースで心肺停止となった人への救命処置について学びます。詳しくはこちらを見てください。ぜひ、時間を作ってコースを受講してください。知っていて損をする知識と技術ではありませんよ。

今回参加されていた方でレストランのマネージャーがいらっしゃいました。その方によると、レストランで食べ物を喉に詰まらせて窒息する方がたまにいるためこのコースを取りに来たとのことでした。それを聞いて「なるほど!」と思いました。

また、NCAAではコーチがCPRAEDの資格を持つことを推奨しています。僕が働いていた大学ではコーチはそれらの資格を取ることを義務付けていました。チームによってはアスレティックトレーナーが付いていない場合もあるし、例えばゴルフ部の練習にATは帯同していません。その時にそばにいるのはコーチですからコーチがCPRAEDの資格を持つことはいい事ですね。日本ではATがいない状況の方が多いですからコーチの方はぜひともコースを受講してくださいね。あなたの選手に万が一何かが起こったときに役立ちます。

6、まとめ

スポーツの現場では稀に心停止の状況に遭遇することがあります。その時、救急車が到着するまでの間にあなたが出来ることがあります。それはCPRAEDを使い傷病者の生存の可能性を高めることです。何も出来ずその場にいるよりも、CPRAEDを使い傷病者を助けましょう。アスレティックトレーナーはこの資格を更新するだけでなく、復習を定期的に行い万が一に備えましょう。一般の方もこれらを使い、傷病者を助けることができます。このコースを受講し、知識と技術をつけることがそのまず一歩になります。

参考文献
1https://www.acls.jp
2https://www.aed-life.com/information/aed/

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この記事を書いた人

パフォーマンスインテグレーション代表
全米アスレティックトレーナー協会公認、アスレティックトレーナー(ATC)

東京の市ヶ谷で怪我の予防と施術、リハビリテーション、トレーニングを行なっています。腰痛や膝の痛みのリハビリの専門家です。ブログではスポーツ障害や健康に役立つ情報を中心に発信しています。

アメリカの大学(NCAAディビジョン1)にて多競技でアスレティックトレーナー(ATC)として12年間働きました。多くの大学生やプロアスリートの怪我の予防や治療、リハビリを行なってきました。

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