運動療法と脳の再教育が必要な理由

ibm_human_brain
Photo: www.ictpost.com

今回のブログでは運動療法と脳の再教育につてお話をします。「難しそうだな」と思われた方は心配しないでください。簡単に説明しますので最後まで読んでいただけると嬉しいです。

目次

運動療法って何?

厚生労働省によると運動療法とは

運動を行うことで、障害や疾患の治療を行う療法。

運動療法とは、障害や疾患の治療や予防のために運動を活用することです。(1

e-ヘルスネット

とあります。

運動療法はいろいろな方に使われています。当院では運動をしている方が多く来院されていますのでその方達に当てはめて言い換えると、

運動療法で筋骨格系の怪我や痛みの予防やそれらの改善をする

となります。

運動療法は簡単ではない

前回のブログでは運動療法を日頃から行うことが重要であることを書きました。もし、まだ前回のブログをお読みでなければまずこちらをお読みください。

運動療法ではウエイトトレーニングのように重い物を持ち上げたりはしません。しかし、だからと言って簡単だという訳ではありません。

なぜ重いものを持ち上げないのに簡単じゃないの?

と思っている方は多いと思います。

なぜかというとそれは、普段正しく機能していない筋肉を運動療法では使うからです。

運動療法の目的

僕が行う運動療法の目的は正常な身体の機能を回復させることです

具体的には、体を動かした時に働くべき筋肉が働き、休むべき筋肉が休むといった筋肉の正しい使い方を回復させるということです。

もう少し説明しますね。体の動きは脳から筋肉に指令が送られて動きが起こります。ある動きをする時、脳から筋肉への指令が正しく送られていなかったら体は間違った筋肉の使い方をします。どういうことかと言うと、この動きで使われるはずの筋肉があまり使われないため、それを補うために他の筋肉が必要以上に使われてしまうのです

これを専門的には代償動作と言います。公益財団法人長寿科学振興財団が運営する健康長寿ネットにも

本来の動作や運動を行うのに必要な機能以外の機能で補って動作や運動を行うこと(2

健康長寿ネット

と説明されています。

当院の運動療法ではこれらの間違いを直していきます

なぜ間違いを直さなければならないか

なぜこの間違いを直さなければいけないかというと、痛みや怪我につながるからです

先ほどお話したように、使われるはずの筋肉が使われず、他の筋肉が必要以上に使われる期間が長くなればその使い過ぎの筋肉は損傷しやすくなります。また、使われていない筋肉はどんどん弱くなります

これを職場にたとえてみます。職場でプロジェクトを進めている時にグループの誰かがあまり仕事をしないとします。その場合、プロジェクトを終わらせるためにグループの誰かがその人の分まで仕事をしないといけません。しかし、この状況が長い間続くと、この人は残業続きで疲れきってしまい病気になったり、バーンアウトしてしまいます。体もこれと同じ状態なのです。必要以上に使われている筋肉はそのうち疲れきってしまうのです。

代償動作の問題として健康長寿ネットでは

・本来使うべき筋肉を使わずにほかの筋肉を使ってきたことにより、使われなかった筋肉の筋力が低下し、過剰に使ってきた筋肉に負荷がかかって痛みにつながること

・非効率な動作となっており、動作のパフォーマンスやスピードが落ちていること

健康長寿ネット

を例として挙げています。

正しい指令を出してるんじゃないの?

私の脳は正しい指令を出してるんじゃないの?と思う方が大半ではないかと思います。うーん、かつてはありました。しかし、間違った動きを長い期間しているうちに正しい指令は間違った指令に書き換えられてしまったのです

病気などの問題がない限り、人は誰もが生まれた時に正しい動きの型を持っています(すなわち、脳に正しいプログラムがある)。しかしながら、その正しい動きの型は成長とともに失われていきます。それは怪我や文化、習慣が理由だったりします。

例としては、怪我をして痛みをかばった動きをしたり、職場で長い時間座っている間に悪い姿勢をしていたり、などが考えられます。

長い期間、特定の動きや姿勢をしていると脳はそれが正しい動きの型だと認識し、それを新しいプログラムとして書き換えます

脳の再教育

じゃ、どうやったら間違ったプログラムを直すことができるの?

間違ったプログラムを正しく書き換えるには何度も何度も正しい動きを繰り返しやることが必要なのです。

そうしない限り、脳は正しい動きの型を再び覚えないのです。この間違った動きのパターンを正しく、且つ、コントロールされた動きのパターンに改善することを脳の再教育と言います

これはよくスポーツで言われる「身体で覚える」と似ています。運動選手が正しい技術を習得するとき、何度も何度もその技術を正しい形で繰り返し練習します。例えば、バスケットボールのシュートや野球のピッチングやバッティングなどそれぞれのスポーツであります。ここで実際に行われていることは繰り返し同じ動作を正しく行うことでその動きの型を脳に覚えさせているのです

ですから、僕は皆さんにクリニックに来た時だけでなく家でも続けてこの運動療法をやるように強調しているのです。繰り返しやることがとても重要なのです。多くの場合、長い年月をかけて間違ったプログラムが書き換えられてきたので、正しいプログラムに書き換えるには時間がかかります。それでも根気よく続けてくださいね。残念ながら、手っ取り早く直す方法はないのです。正しい身体の機能を回復させるために脳の再教育が必要なのです。

参考文献

1, https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-086.html

2, https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-kiso/daishodosa-mondai.html

今回の記事に興味を持ってくれた人に読んでほしい記事はこちら!

パフォーマンスインテグレーション:東京、市ヶ谷のプロ選手も通うスポーツの怪我のリハビリテーション専門院。米国アスレティックトレーナー(ATC)による施術とリハビリテーション。痛みの軽減とスポーツへの復帰をお手伝いします。16年間アメリカのトップアスリートを支えた実績。豊富な経験と知識、高い技術であなたの身体をケアします。ホームページはこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

パフォーマンスインテグレーション代表
全米アスレティックトレーナー協会公認、アスレティックトレーナー(ATC)

東京の市ヶ谷で怪我の予防と施術、リハビリテーション、トレーニングを行なっています。腰痛や膝の痛みのリハビリの専門家です。ブログではスポーツ障害や健康に役立つ情報を中心に発信しています。

アメリカの大学(NCAAディビジョン1)にて多競技でアスレティックトレーナー(ATC)として12年間働きました。多くの大学生やプロアスリートの怪我の予防や治療、リハビリを行なってきました。

目次