アメリカの大学のバスケットボール選手が3回の前十字靭帯断裂の怪我から復帰した話をESPNの記事をもとに紹介します。
三度の前十字靭帯断裂からの復帰
アメリカのペンシルバニア大学のジェラニ ウイリアムスは1,795日ぶりにバスケットボールのホームゲームに復帰しました。
ペンシルバニア大学はNCAAディビジョン1のアイビーリーグに所属する学校です。
アイビーリーグといえばハーバード大学やコロンビア大学などの学業で優秀な大学群です。
皆さんも一度は聞いたことあると思います。
1,795日ぶりのホームゲームとは約5年ぶりということです。
つまり、初めて大学の試合でプレーしたことになります。
どういうことかというと、彼は3度の前十字靭帯断裂(ACL)を経験しているからです。
そうです、3回のACLです。
アスレティックトレーナーの僕からしたら聞いただけで気絶しそうです。
ですから、ウイリアムス本人にとっては壮絶な5年間だったでしょう。
1回目の前十字靭帯断裂は高校3年生の時、2016年12月18日でした。
その時は左のACLでした。
この時、すでにペンシルベニア大学に進学することが決まっていたウイリアムスは進学後もリハビリのため1年生の時はプレーをすることが出来ませんでした。
ACLからの復帰は時間もかかるし、リハビリも大変です。
手術後のモモは驚くほど衰え、細くなり、力が全く入りません。
モモに力を入れても入りません。
ですから、脚を持ち上げることすら出来ないのです。
そこからリハビリは始まります。
リハビリでキツイのは身体だけでなく、精神的にも辛いです。
いろいろな事が頭をよぎります。
どうして自分が怪我をしたのか、元のように戻れるのか、プレーはできるのか、などの思いが込み上げます。
チームメイトとは離れ1人でリハビリを何ヶ月も続けることは孤独を感じずにはいられません。
そんな思いをしながら選手はリハビリをしています。
彼のリハビリは順調に進み、2年生となりました。
その夏の2018年7月にリハビリは終了し、プレーをする許可が出ました。
大学バスケでは夏の間はオフシーズンですからチームでプレーする時間は限られています。
選手たちは大学やその他の場所でピックアップゲームに参加することが一般的です。
彼も同じようにピックアップゲームに参加していました。
その時です、不運にも今度は右の前十字靭帯を断裂してしまいます。
今度は逆の膝のリハビリです。
2回目のACLは辛いです。
また、もう1度あのリハビリをやらないといけないのです。
彼は諦めずにリハビリを頑張り、1年後に復帰をしました。
しかし、2019年5月に2回目と同じ右の前十字靭帯を断裂してしまいます。
3回目のACLです。
アスレティックトレーナーの僕としては彼が不憫でしかありません。
身体はもちろん、心もズタズタでしょう。
彼は秋学期は休学し、実家で過ごすことにしました。
精神的にとても苦しかったと思います。
ですから、家族の元で休むことは正解だったでしょう。
その間にカウンセリングを受けたり、リハビリを再度始めました。
普通ならばここでもう諦めて次の道へと進んでもおかしくありません。
しかし、彼はここで諦めませんでした。
彼は復帰することを決心してリハビリを続けました。
2020年7月遂にプレーをする許可が出ました。
しかし、彼は慎重でした。
この後2ヶ月間はピックアップゲームしませんでした。
順調に回復したものの、2020-2021年のシーズンはCOVID-19のため、アイビーリーグはシーズンをキャンセルしました。
そのため、彼は復帰することができませんでした。
しかし、このおかげで時間をかけて試合への復帰の準備が十分に出来たのではないかと僕は思います。
そして、2021年11月10日に1,789日ぶりにバスケットボールの試合にアウェーゲームで出場しました。
その6日後に1,795日ぶりにホームゲーム、すなわち、大学で初のホームゲームに出場しました。
これは約5年ぶりです。
本日、2021年12月15日現在、彼は順調にプレーをしているようです。
13試合全てに出場し、平均25分プレーし、平均6.4点を記録しています。
パフォーマンスインテグレーション
パフォーマンスインテグレーションではスポーツ障害への施術と運動療法を行なっています。
怪我からのパフォーマンス向上、スポーツへの復帰をお手伝いします。
参考文献
1、https://www.espn.com/mens-college-basketball/story/_/id/32652536/penn-guard-jelani-williams-first-college-basketball-home-game-was-1795-days-making