【解説】慢性の怪我とその予防について10個の知っておくべきこと

以前ブログで「慢性の怪我とその予防について10個の知っておくべきこと」という投稿をしました。今回はそれら10個について説明をしていきます。

目次

【解説】慢性の怪我について5つの知っておくべきこと

1、慢性の怪我の原因はオーバートレーニングや休養不足、間違ったトレーニングと技術、筋肉の弱さとバランスの悪さです。中高生の早い時期に1つのスポーツに専念することは慢性の怪我の原因の1つです。

慢性の怪我の原因の例

  • トレーニングのし過ぎ
  • 休養不足
  • 間違った方法
  • 筋肉が弱い
  • 筋肉のバランスが悪い

このリストから分かるように慢性の怪我の原因は複合的です。いろいろな原因が考えられます。この中の一つが当てはまるかもしれないし、複数かもしれません。もしくは、これ以外かもしれません。とても複雑ですから、自分では簡単にこれが原因だと判断できない場合が多いでしょう。もちろん、自分で思い当たる事を考えてそれらを改善し、体がどう変化するのも一つの方法です。しかし、専門家に客観的に評価してもらい、改善方法を提案してもらう方が確実に早く改善するでしょう。

2、慢性の怪我による長期間にわたる影響は身体機能の低下や精神的ストレス、スポーツからの長期離脱です。

慢性の怪我とは言い換えると、「長期間症状が持続する」という意味です。長い間問題が続くのでそれにより、筋力が落ちてしまったり、関節が動きにくくなり硬く感じたりします。長い間痛みを感じながらプレーしたり、動きにくさを感じながらプレーすることによってストレスは溜まりますよね。「痛くなかったらもっと動けていいプレーができるのになぁ。。。」と思う日々が続くでしょう。我慢を続け痛みなどの症状が悪化すれば練習や試合を休まなければなりません。慢性の怪我は休む期間が長くなることもあります

3、慢性の怪我共通することは炎症や腱炎、全身のストレスです。

慢性の怪我では多くの場合、体の組織のどこかが炎症を起こしています。よくある箇所は次のようなものが挙げられます。

  • アキレス腱
  • 膝蓋腱(膝のお皿の下)
  • 肩の筋肉や腱
  • 肘の筋肉や腱

4、慢性の怪我が起こる傾向は徐々に症状が始まることや長期に渡って診断されていないこと、長期に渡って治療されていないことです。

慢性の怪我の特徴は気づかないうちに徐々に始まり、最初はそれほど痛くないが時間とともにゆっくりと痛みが強くなる傾向があることです。最初はそれほど問題では無いと考え、放っておきがちです。そのため対処が遅くなり、痛みが強くなり治療を開始した時には痛みが始まってからすでに長時間経っていたということがよくあります。

僕の経験から言えることは、「痛みが始まってから時間が長いほど、良くなるまで時間がかかる」ということです。痛みが強くなる前に対処をすれば短い時間で治ることが多いです。ですから、体に何か違和感を感じ始めたらすぐに対処を始めることが重要です。例えば、「膝がなんかいつもと違って重いな、違和感があるな」と感じ始めたら専門家に何が問題なのか体を見てもらいましょう。そして、それに対して何をすれば良いか提案をしてもらうことが重要です。

5、疲労骨折もよくある慢性の怪我の1つです。疲労骨折は筋肉の疲労により衝撃が吸収されづらくなり、衝撃が骨に伝わるために起こります。

慢性の大きな怪我の一つに疲労骨折が挙げられます。日本整形外科学会によると、

疲労骨折も他の慢性の怪我と同じように徐々に痛みが始まり、最終的に痛みが強くなります。筋肉の疲労により骨への負担が強くなり、骨が耐えられなくなり骨折が起こります。ですから、一定の筋肉が酷使されることを防ぐことが大切です。上の1で挙げた原因が疲労骨折にも当てはまります。これらを改善することが疲労骨折を防ぐことに役立ちます。

【解説】慢性の怪我の予防について5つの知っておくべきこと

1、クロストレーニングをしましょう。いろいろなスポーツをやることによって全身のトレーニングになり、特定の箇所へのストレスを減らします。

クロストレーニングとは自分の専門スポーツのトレーニング以外のことをトレーニングの一環として取り入れる方法です。一つのスポーツを1年間ずっと続けるとある程度同じ動きをして、同じ体の部位を使い続けることになります。そうなるとその部位に負担が過度にかかることになります。それが怪我に繋がります。他のスポーツをすることにより、普段あまり使わない筋肉や部位を使い、いつも使うところへの負担を軽減させることができます。また、普段とは違う動きをすることにより体全体の機能も高まります。体は繋がっているので、それにより専門のスポーツのパフォーマンスが向上するかもしれません。

2、トレーニングのし過ぎに注意しましょう。少なくとも週1日は休養日が必要です。休むこともトレーニングの一環!

もしかしたらこれが慢性の怪我の原因の大きな理由かもしれません。1日の練習時間、練習強度、1週間の運動強度などを考えずにいるとオーバートレーニングになる可能性があります。あらかじめ1週間の計画を立てることが好ましいでしょう。ランニングをしている方は比較的計画を立て、1週間の走行距離を管理している印象があります。球技などのチームスポーツの場合、複数の人がいるので管理しにくいかもしれませんが1週間の運動強度の管理をすることによってある程度の慢性の怪我の予防になるでしょう。また、個人個人が自分の体を疲労度を管理することも大切です

アスリートによっては休むことをネガティブに考える人もいます。しかし、体は消耗品なので休むことやメンテナンスをすることも練習と同じく重要です。休むことによって怪我の予防に繋がり、パフォーマンスの向上にも役立ちます。

3、身体の回復のために十分な栄養を摂りましょう。栄養素はトレーニングによって傷ついた結合組織の回復を促進します。

食事(栄養)は身体の回復に重要な要素の一つです。タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取しましょう。日本人は白米を主食としている場合が多いため、炭水化物を多く摂り過ぎているような印象を受けます。それに対し、タンパク質は十分に摂取されていない印象です。

一つの参考までに自分の手を使ってそれぞれの栄養素を摂取する量を決める方法があります。(2

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  • 手のひら=タンパク質
  • 握り拳=野菜(ビタミン)
  • 手のひらのカップ=炭水化物
  • 親指=脂質

それぞれの食事で男性

  • タンパク質=手のひら x 2
  • 野菜=握り拳 x 2
  • 炭水化物=手のひらのカップ x 2
  • 脂質=親指 x 2

それぞれの食事で女性

  • タンパク質=手のひら x 1
  • 野菜=握り拳 x 1
  • 炭水化物=手のひらのカップ x 1
  • 脂質=親指 x 1

以下のことに注意しましょう。

  • あくまでもざっくりとした量なので男性は女性の2倍、またはその逆、でなければいけないという訳ではありません。必要に応じて調整しましょう
  • この計算方法で1日に4食取ると、男性は約2300~3000kcal、女性は約1500~2100 kcalの摂取になります
  • 体の大きさやそれぞれの目的に応じて各自調整が必要です

4、1つのスポーツのシーズンが終わったら、そのスポーツから数ヶ月の休みを取りましょう。長期休養は怪我や疲労からの回復の助けになると共に、精神的なバーンアウトの予防にもなります。この休養期間にはストレングスとコンディショニングのトレーニングに集中しましょう。

シーズンが終わったら心身ともに休養が必要です。心と体は密接に関係しています。心も体も競技から離れて休み、リフレッシュすることが必要です。体からの声をしっかりと聞きましょう。シーズン終了した次の日に今日から来シーズンの始まりと言う人も見かけます。シーズンが終わりまだ興奮が覚めやまないのはよく分かりますがまずは休みましょう。どれくらいの期間を休みにしたらいいというはっきりしたガイドラインは無いですが、プロ選手のように長期のオフシーズンがある場合は3~4週間を完全な休みとするといいでしょう。日本では学生は年間通して大会があり、まとまったオフシーズンが無い場合が多い印象です。年に数回長め(1週間から10日)の休みを取るようにすると心身ともに休めるでしょう。若いから休まなくても大丈夫というのは間違いです

そして、再び体を動き始める時は徐々に強度を上げましょう。また、競技をすぐに始めるのではなく、オフシーズンはウエイトトレーニングを集中して体を強くしましょう

5、少なくとも年に1度は健康診断を受けましょう。それによって、命に関わる疾患を見つけることが出来ますし、慢性の怪我の要因を見つけることができます。

年に一度、健康診断を受けることはとても重要です。プロ選手であればシーズン開始前、学生であれば年度の始めに受けましょう。スポーツが出来ているということは基本的には健康なのですが、自覚症状が無い問題がある場合もあります。例えば、心臓に関する問題です。一見、健康そうな選手が突然練習や試合中に心停止で倒れることがあります。そのようなことを出来るだけ予防するためにも健康診断はあなたが思っている以上に重要です。

参考文献

1、https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s08.pdf
2、Precision Nutrition, Chapter 12

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パフォーマンスインテグレーション:東京、市ヶ谷のプロ選手も通うスポーツの怪我のリハビリテーション専門院。米国アスレティックトレーナー(ATC)による施術とリハビリテーション。痛みの軽減とスポーツへの復帰をお手伝いします。16年間アメリカのトップアスリートを支えた実績。豊富な経験と知識、高い技術であなたの身体をケアします。ホームページはこちら

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この記事を書いた人

パフォーマンスインテグレーション代表
全米アスレティックトレーナー協会公認、アスレティックトレーナー(ATC)

東京の市ヶ谷で怪我の予防と施術、リハビリテーション、トレーニングを行なっています。腰痛や膝の痛みのリハビリの専門家です。ブログではスポーツ障害や健康に役立つ情報を中心に発信しています。

アメリカの大学(NCAAディビジョン1)にて多競技でアスレティックトレーナー(ATC)として12年間働きました。多くの大学生やプロアスリートの怪我の予防や治療、リハビリを行なってきました。

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