
前十字靭帯損傷とは?と思ったことがあると思います。12年間アメリカの大学でアスレティックトレーナー(ATC)として働き、4年間クリニックを経営してきた僕が簡単に説明します。
こんな事を思ったことがありませんか?
「前十字靭帯損傷」という怪我をニュースなどで見ることがあると思います。もしくは、あなたの友人やチームメイトがこの怪我を負っている場合があるでしょう。こんなことを思ったことはありませんか?

- そもそも、前十字靭帯ってなに?
- 前十字靭帯損傷ってなに?
- 前十字靭帯を損傷するとどうなるの?
解剖

そもそも、前十字靭帯ってなに?
結論:前十字靭帯(ACL)とは膝を安定させる靭帯です。
前十字靭帯(ACL)は大腿骨(だいたいこつ、ももの骨)と脛骨(けいこつ、すねの骨)をつないでいます。ちなみに、前十字靭帯のことをACLと言われることが多いです。それは、前十字靭帯を英語で言うと、Anterior Cruciate Ligamentといい、その頭文字をとってACLとよく言われます。アメリカでもACLと略して言うことがほとんどです。
「前十字靭帯 = ACL」ですので覚えておいてください。
膝には4つ主要な靭帯があり、前十字靭帯(ACL)はその1つです。大腿骨(ももの骨)の後ろの方から脛骨(すねの骨)の前の方に斜めに走っています。
機能
では、前十字靭帯 (ACL)がどのような役割をしているか簡単に説明します。

まず1つ目は、「膝が過度に前方へ動くのを防ぐ」です。どういうことかというと、脛骨(すねの骨)が前へ動いたとき、前十字靭帯がピンと張って前へ行き過ぎるのを止めます。

2つ目は、「膝が過度に内側に捻るのを防ぐ」です。これは、脛骨(すねの骨)が外側に回転し、大腿骨(ももの骨)が内側に回転するように、それぞれが逆方向に回転してねじれた時に、前十字靭帯がピンと張って捻りを止めます。
前十字靭帯以外にも膝を安定させる靭帯や筋肉もありますが、間違いなく前十字靭帯は主要な組織の1つです。もう一度言います、前十字靭帯は膝を安定させる重要な靭帯です。
損傷とは

前十字靭帯損傷ってなに?
結論:前十字靭帯損傷とはそれが断裂してしまうことです。
専門的には前十字靭帯損傷の「損傷」には重症度によって1〜3までのグレードがあります。グレード1から3まで靭帯がどのような状態なのかを説明します。この定義は前十字靭帯にだけではなく、どの靭帯にも同じように使われます。
グレード1:靭帯が伸びてしまった状態。しかし、切れてはいない。
グレード2:靭帯が部分的に断裂している状態。
グレード3:靭帯が全部完全に断裂している状態。1)
しかし、一般的に「前十字靭帯損傷」と言われたときは完全に切れている(断裂)ことを意味していることが多いです。もう一度言います。靭帯の損傷には1~3のグレードがある。一般的に「前十字靭帯損傷」と言ったときはグレード3である完全に断裂していることを意味する場合が多い。以前にこんな記事も書いてますので合わせて読んでください。

膝はどうなるか
前十字靭帯を損傷するとどうなるの?
結論:前十字靭帯が損傷すると膝が不安定になります。膝がぐらぐらします。

不安定になる理由は膝を曲げた時に脛骨(すねの骨)が前にずれ、内側にひねられるからです。先に説明したように、前十字靭帯は大腿骨(ももの骨)と脛骨(すねの骨)をつないでいます。それが無くなってしまうため、脛骨(すねの骨)が前に動いたときにストップしないのです。具体的にどのような感覚なるかというと、膝がガクッと崩れる感覚です。もちろん、前十字靭帯の損傷で痛みや腫れの症状もありますが、1番の問題はこの不安定性です。もう一度言います。前十字靭帯が切れてしまうと膝がぐらついて不安定感を感じます。
まとめ
- 前十字靭帯は膝にある主要な靭帯の1つ。
- 損傷とは前十字靭帯が切れてしまうこと。
- 前十字靭帯が損傷すると膝がぐらぐらする。
参考文献
1) https://sportmedbc.com/article/ligament-sprains


