ATがオンフィールドでの対応に大切なこと5つ

オンフィールドでの対応

2022年1月1日に行われたオハイオステイト大学対ユタ大学のフットボールの試合で頭部外傷がありました。今回はその受傷シーンを紹介するとともに、アスレティックトレーナーがオンフィールドで怪我に対応するときに大切なことを紹介します。

目次

ローズボウルでの頭部外傷

2022年1月1日オハイオステイト大学対ユタ大学での怪我の動画
https://youtu.be/atBssVR02m8

この試合は2022年1月1日に行われたローズボウルという試合で起こりました。怪我が起こったのは第4クォーター残り時間約10分のところで、ユタ大学のQBである2年生Cameron Rising選手が相手選手に倒されたときに頭を地面に打ちました。直後にユタ大学のアスレティックトレーナー2人が駆け寄り、怪我の対応をしました。Cameron Rising選手は自力でサイドラインに移動し、更なる怪我の評価を受けました。2日後の1月3日に自身のSNSで無事であり、家族と過ごしていることを報告しています(1。緊張する状況でしたが今のところ幸いにも大事には至らなかったようで良かったと思います。

ローズボウルとは

ローズボウルとは何か簡単に説明します。ローズボウルという試合はシーズン最後に行われるボウルゲームの1つです。その中でもとても大きな試合の1つに位置づけられています。今年は第108回であり、とても歴史のある試合です(2。今年のローズボウルの試合は全米6位オハイオステイト大と全米11位ユタ大の間で行われました。今年の試合の観客数は87,842人でした(2。毎年この試合は全米で生放送されます。

オンフィールドでの対応に大切なこと

アスレティックトレーナーはこのような怪我の直後の対応が主な仕事の1つです。アスレティックトレーナーは処置の間、観客全員から注目されています。今回のような試合ではものすごい数の人から注目され、練習中の怪我の対応とは雰囲気が全く異なります。アスレティックトレーナーはこのような緊張感があり、多くの観客から見られている状況でも冷静に怪我の対処を行えるようになることが大切です。そのためにはできる限りの準備をしておくことが重要です。

僕が長年の経験から学生ATや若手ATにアドバイスできることは、

1、どんな怪我においてもオンフィールドで起こったときにどんな対応をすればいいか知っておくこと。
2、普段の練習の時からオンフィールドで起こった小さな怪我においてもしっかりと対応すること。
3、アスレティックトレーナーが複数いるときは誰が何をするか役割を明確にしておくこと。
4、怪我が起こった時はまず自分が冷静になること。
5、練習中、特に試合中は過度に競技にのめり込まないこと。

どんな怪我においてもオンフィールドで起こったときにどんな対応をすればいいか知っておくこと

オンフィールドでの評価とアスレティックトレーニングルーム内(クリニック内)での評価の仕方は異なります。ですから、オンフィールドで怪我が起こったときにどのような対応をすればいいかしっかりと覚えておきましょう一般的に行うこと、行う手順、などを理解しておくと共に、頭部や頸部外傷などの特別な怪我の場合の手順もしっかりと理解しておきましょう

普段の練習の時からオンフィールドで起こった小さな怪我においてもしっかりと対応すること

練習中に起こった怪我にしっかりと対応できるようになることが試合中の怪我に対応できるようになるためには大切です。試合中のときほどの緊張感がない状況で対応できないと、試合中の緊張感の中で冷静に対応するのは難しいです。練習中とはいえ、怪我が起こった時は緊張感が走ります。ですから、そのときに小さな怪我でも流さずに対応し、そのような場面に慣れていきましょう

アスレティックトレーナーが複数いるときは誰が何をするか役割を明確にしておくこと

所属チームに複数のATがいる場合は試合で怪我が起こった時、誰がフィールドに行って対応し、誰がサイドラインにいて道具が必要な際に持っていく、などの役割分担を前もってしておきましょう。そうすることによってスムーズに怪我の対応ができます。

怪我が起こった時はまず自分が冷静になること

僕個人としてはこれをとても大切にしています。怪我が起こったときに焦って駆け寄ることは僕はしないようにしていますATが焦っていると怪我をしている選手は不安に感じます。怪我が起こったとき、僕は「冷静に」とまず頭の中で唱え、それから行動します。

練習中、特に試合中は過度に競技にのめり込まない

試合中に応援をしたり、声を上げることはもちろんありますが、自分がなぜここにいるのかということを常に頭に置いておきましょう。アスレティックトレーナーはファンではありませんもしかしたら怪我が起こるかもしれないということを常に念頭に置いておき、何か起こったときに冷静に正しく対応できるようにしましょう。アスレティックトレーナーは日本では法律上は医療従事者ではありませんが、仕事として怪我が起こったときのファーストレスポンダーであることに変わりありません。ときによっては命に関わる状況に対応する必要があります。ですから、「自分は医療従事者である」という意識をもって行動することはアスレティックトレーナーとして大切だと僕は感じています。

参考文献

  1. https://kslsports.com/476077/utah-qb-cam-rising-provides-update-after-leaving-rose-bowl-game-with-injury/
  2. https://en.wikipedia.org/wiki/2022_Rose_Bowl

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この記事を書いた人

パフォーマンスインテグレーション代表
全米アスレティックトレーナー協会公認、アスレティックトレーナー(ATC)

東京の市ヶ谷で怪我の予防と施術、リハビリテーション、トレーニングを行なっています。腰痛や膝の痛みのリハビリの専門家です。ブログではスポーツ障害や健康に役立つ情報を中心に発信しています。

アメリカの大学(NCAAディビジョン1)にて多競技でアスレティックトレーナー(ATC)として12年間働きました。多くの大学生やプロアスリートの怪我の予防や治療、リハビリを行なってきました。

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